八宝茶は、視覚・味覚・嗅覚のすべてを楽しめるお茶。耐熱グラスや透明な茶器に具材を入れ、お湯を注ぐと、花が開き、フルーツが浮かび上がる。時間とともに味が変化するのも魅力のひとつ。
八宝茶に込められた生命と美の知恵
八宝茶の発祥と歴史
「八宝茶」の「八宝」とは、八種類の貴重な食材を使用することに由来しています。発祥は中国・雲南省とされ、特に回族の間で広まったといわれています。回族は健康を重視する文化を持ち、薬膳の知識を活かしたお茶を日常的に飲んでいました。
その後、中国全土で愛されるようになり、清朝時代には宮廷の貴族の健康、そして妃たちの美容にも重宝されたとされています。
美を意識して作られた八宝茶
東京丸ビルの地下を歩いていたら中国茶専門店RIMTAE(リムテー)が目にとまりました。リムテーとは、中国福建省の方言で「お茶をどうぞ」という意味のようです。
リムテー八宝茶は美容を意識した組み合わせで作られています。

RIMTEの「八宝茶」
ジャスミン茶、菊花、バラ茶、ナツメ、竜眼、クコの実、砂糖、松の実
花の美しさと香りの薬効
八宝茶はアロマテラピーと同じように香りも大切な要素。ジャスミン、菊花、野ばらなど、四季折々の花を浮かべ、口に含めば花々の美しさと芳醇な香りが広がります。一杯の茶の中に、移りゆく季節の息吹を感じることができる。
花の開花エネルギーを内側へ
花は本能のままに静かに開きます。花が咲く瞬間にあふれる生命のエネルギーは、身体の奥深くに染みわたり、内側から気の流れを優しく促してくれる。
ジャスミンやバラは、美しいだけでなく生薬の力を秘めています。芳しい香りとともに「気」のめぐりをやわらかく整え、滞りを解きほぐしてゆきます。
菊花とクコで瞳を美しく
目の健康を守るための代表的な漢方薬「杞菊地黄丸」があります。特に視力の衰えや目の疲れ、かすみ目などに効果があるとされ、処方は「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」という腎を補う基本的な漢方薬に、クコの実と菊花を加えたものです。
明るく澄んだ目を育む力がある菊花とクコのお茶は、宮廷の妃たちの伝統ブレンド。
八宝茶の素材を「全部そろえるのは大変…!」と思うときは、セットされた八宝茶を試してから、自分のお気に入りの組み合わせを見つけるのも楽しいかもしれません。