香りの効果

東洋と西洋の視点

人は嗅覚を備えているので、人類誕生と同時に、匂いを感じ香りと関わりを持っています。古代では、香りのよい植物で宗教儀式、官能、薬用、食料の保存など、肉体や精神の健康を保つために用いてきた歴史があります。

西洋の視点:アロマテラピーと科学的効能

西洋での「香りの効果」といえば、やはりアロマテラピーが代表的です。19世紀末から20世紀にかけてフランスやイギリスで発展し、精油の成分やその化学的な作用が研究されてきました。

目的は「症状に合わせて香りを使い分ける」こと。
たとえば、ラベンダーのやさしい香りは心を落ち着けて安眠を助け、ペパーミントは頭痛や吐き気をやわらげます。ユーカリのすっきりとした香りは、呼吸をラクにしてくれる心強い味方です。
香りの成分は鼻から脳の奥にある大脳辺縁系に届き、自律神経やホルモンの働きに作用するなど、科学的な裏付けがあるのも、西洋の特徴です。
使い方もシンプルで、アロママッサージで肌から取り入れたり、ディフューザーで香りを部屋に広げたり、アロマバスでゆったり浸かるなど、外側からのアプローチ法で調えます。

東洋の視点:気・血・津液・陰陽を調える

東洋では、香りは「心と体のバランスを調える大切な薬」として用いられてきました。東洋医学(中医学、漢方、薬膳)や日本の香文化、たとえば香道や香薬などがその背景にあります。

考え方の基盤は東洋医学にあり、香りの持つ力を利用し、気(エネルギー)、血、津液(水)の巡りを滑らかにし陰陽のバランスを調えます。
芳香薬の効能や温かさ・涼しさの性質を見極め、その人の体調、心身の状態、季節に合わせて使います。たとえば、沈香や白檀の深く落ち着いた香りは、心を鎮めて気持ちを安定させます。一方、陳皮(みかんの皮)や薄荷の爽やかな香りは、気の巡りを良くして消化を助け、心身を軽くします。
使い方は、薬膳学を基にした体質別、症状別、美容を意識した飲食など、内側からのアプローチ法で調えます。

香りの心理的効果

医香同源

漢方の源流「中医学」の思想の中に「医香同源(香薬同源)」という生薬と香りの関係をあらわす言葉があります。これは「医食同源」と同じように、原料の起源が同じであることを指しています。
しかし香と薬においては使用方法によって効果が少し異なります。

香りの心理的効果

煎じ薬は消化器を通じて身体に作用しますが、香りは気道を通って身体に作用し、さらに精神にも影響を与えます。香りが精神や情動に及ぼす影響は複雑であり、その影響は薬理効果だけでは実感できないこともあります。
香りによる心理的調節は薬理効果に加えて、甘い香りのキンモクセイの香りで疲労感を和らげたり、ミントの香りでリフレッシュしたり、嗜好性、経験により「好き、嫌い」があるため、この部分はおおいに考慮しなければなりません。

香りで邪気を払う―東洋の知恵

「香り」は「音」と同じように見ることも触ることもできません。その実態は香りの粒子か、音の波動という違いにありますが、同じ聞くという言葉で表現します。
香薬の働きは古代中国では聞香祛病(もんこうきょびょう)芳しい香りで邪気を払い天性を涵養し、時には幸福感すら引き起こす影響力があります。

邪気とは、病気や不調の原因となる悪い影響のことで、ウイルスや菌だけでなく、外部から侵入する風邪、湿邪、火邪、暑邪、燥邪、寒邪などの「六淫(りくいん)」や、感情の乱れによる「七情(しちじょう)」などが挙げられます

香りで心身を守る―東洋の知恵

古来より、香袋や線香を身近に置くことで、空気を浄化し、邪気から身を守る習慣がありました。現代でも、精油やお香を使った香りの習慣は、ストレス緩和や免疫力サポートという形で受け継がれています。
香りは単なる癒しではなく、心身を守るための「天然の防御法」。日々の生活に取り入れることで、心と体の調和を保つ手助けとなります。

*涵養(かんよう)とは自然に水がしみこむように徐々にゆっくり養い育てること

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このサイトは東洋医学の深い伝統と知恵を基盤に、現代社会の日々を支える“香る薬”をデザインすることを目的として運営しています。ストレス社会の中で、自分自身と静かに向き合い、心身の調和を取り戻す。そのための“香りの処方箋”をお届けできれば幸いです。

<制作・運営>
国際中医師・香薬専門士
黒岩 由美子

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