漢方の源流である中医学には、「医香同源(香薬同源)」という考え方があります。
医食同源と同じように、香りと薬は、もともと同じ自然の素材から生まれたという考え方です。
しかし香りと煎じ薬は、身体への届き方が異なります。
煎じ薬が消化器を通って身体に作用するのに対し、香りは気道を通り、さらに精神や情動にまで静かに働きかけます。その作用は、薬理だけでは測れません。
金木犀の甘い香りで、疲れがほどけること。
ミントの香りで、思考がふっと前を向くこと。
そこには、嗜好や記憶、経験といった、その人自身の時間が深く関わっています。




