名香「能登之花」のとキリシマツツジが咲かせる、甘く記憶に残る香り

旅するとき、私はその土地のお香を探します。今回は「金沢らしいお香」を探しました。華美すぎず、でもどこか芯のある香り。土地の空気や記憶が、そっと染み込んでいるようなもの。

金沢の老舗お香店「香屋」で、丁寧に試香をさせていただく中で、ひときわ印象に残った香りがありました。それが「能登之花」

名香「能登之花」が描く、能登の心の風景

「能登之花」は、能登心の花とも呼ばれる、のとキリシマツツジをイメージして創作されたお香です。

名香「能登之花」

焚いた瞬間、ふわりと広がるのは、「今、どこかで花が咲いているのでは」と錯覚するような、やわらかく甘い香り。
時間が経っても残香は消えず、空間そのものが花に包まれたような、穏やかな余韻が続きます。いわゆる「花のお香」とも違う。どこか土の気配や、人の祈りのようなものを含んだ、少し癖になる香りです。

のとキリシマツツジとは──能登の大地に根を張る紅い花

のとキリシマツツジは、能登半島に古くから根づくツツジの一種で、鮮やかな紅色の花を咲かせることで知られています。
厳しい風や潮の気配を受けながらも、毎年変わらず花を咲かせる姿は、「能登の人々を見守り、幸せを祈る花」として親しまれてきました。

静かな力強さ。その佇まいは、能登という土地そのものを映しているようにも感じられます。「能登之花」の香りには、この花がもつ優しさと芯の強さが溶け込んでいるようです。

香りで表現される「花」-甘さの奥にある余韻

「能登之花」の甘さは、軽やかで可憐というより、奥行きのある、記憶に残る甘さ。焚いている最中よりも、火を消したあとの空気にふと残る香りに、心をつかまれました。それは、花そのものというより、花が咲いている風景や時間を思い出させる香り。

だからこそ、日常の中で焚いても浮かない。むしろ、少し疲れた夜や、気持ちを整えたい時に、静かに寄り添ってくれます。

のとキリシマツツジをモチーフにした、能登・金沢のものづくり

のとキリシマツツジは、お香だけでなく、能登や金沢のものづくりの中で象徴的な存在として扱われることもあります。
たとえば、
•花の色をモチーフにした和菓子
•図案として取り入れられた工芸品
•地域の自然や記憶を伝える意匠
形は違っても「この土地を想う気持ち」を託された表現として息づいています。「能登之花」は、そうした流れの中で生まれた、香りによる能登の表現なのだと想像しました。

金沢らしさを持ち帰るということ

金沢土産というと、目に見えるものを思い浮かべがちですが、香りは、もっと静かで、もっと個人的なお土産です。
「能登之花」を焚くたびに、あのとき香屋で試香した時間や、金沢の空気、能登の花に思いを馳せる気持ちが、ふっと戻ってきます。

金沢らしいお香を探している方、土地の物語を感じる香りが好きな方には、ぜひ一度手に取ってほしい名香です。

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